2019年03月25日
初速が安定するピストンヘッド?!【検証データ公開】
こんばんは。
DCI GUNS営業担当の鈴木です。
昨日大きな反響を頂いた側面吸気ピストンヘッドですが、その性能は?と気になる方も多いかと思います。
そこで今回は検証データを公開致します。
まずは計測条件から
【使用銃:CYMAベースM4】
メカボックス:ディープファイア強化メカボックス
シリンダーヘッド:ACE1ARMS ダブルOリングタイプシリンダーヘッド
シリンダー:ライラクス フルシリンダー
ピストン:SHS 金属歯 強化ピストン
ノズル:メーカー不明 エアシールノズル
タペットプレート:メーカー不明
スプリング:BATON製 レート不明
スプリングガイド:SHS ベアリング付スプリングガイド
バレル:マルイ純正
チャンバー:VFC 精密HOPチャンバー
パッキン:マルイ純正
【使用弾:G&G 0.2g】
【使用グリス:AZ シリコーングリース】
【測定器:Xcortech X3200】
計測誤差を最小限にするため、測定器をハイダーに直接固定して計測。
【検証に使用したヘッド】
A:DCIGUNS ピストンヘッド(側面吸気ピストンヘッド)
B:海外製 8ホールピストンヘッド
C:海外製 ワイド8ホール&ダブルOリングピストンヘッド
D:(番外)東京マルイ 純正ピストンセット
【今回、DCI製ピストンヘッドの効果検証をするため以下の内容で検証を行った】
(1)グリスアップ後11~100発の弾速を計測(1~10発はグリスの影響で初速変化が大きいため除外)
(2)グリスアップ後401~500発目の弾速を計測
(3)グリスを拭き取ったあとの100発の弾速を計測
これは、電動ガンをカスタムした直後(1)と、ある程度使用した状態(2)、グリス切れになるほど使い込んだ状態(3)をシミュレートするものである。
【検証結果】
A:DCIGUNSピストンヘッド
11-100発 401-500発 拭取後100発 初速前後差
平均初速 86.812 86.826 87.366 0.554
標準偏差 0.5998 0.4012 0.3246
(2σ)
B:海外製 8ホールピストンヘッド
11-100発 401-500発 拭取後100発 初速前後差
平均初速 85.777 85.466 84.073 -1.704
標準偏差 0.594 0.566 0.443
(2σ)
C:海外製 ワイド8ホール&ダブルOリングピストンヘッド
11-100発 401-500発 拭取後100発 初速前後差
平均初速 87.231 85.434 83.557 -3.674
標準偏差 0.421 0.297 0.949
(2σ)
D:(番外)東京マルイ 純正ピストンセット
11-100発 401-500発 拭取後100発 初速前後差
平均初速 70.54 78.669 77.857 7.318
標準偏差 3.330 2.706 1.119
(2σ)
初速前後差は「拭取後100発の初速」-「11-100発」の値です。
標準偏差(2σ)は、初速のばらつきが正規分布であるならば、「初速平均値」±「標準偏差(2σ)」の値に約95%が収まることを示します。
つまりこの値が小さいほど初速のばらつきが小さいことを示します。
例:A.DCI GUNSピストンヘッドの拭取後100発の標準偏差(2σ)は0.3246ですが、これは「平均初速:87.366」±「0.3246」に100発の初速のばらつきの約95%が収まるということです。大雑把にいうと初速の高低差が0.6492(0.3246の2倍)ということになります。
【考察】
DCIGUNSピストンヘッドは全計測において初速の誤差が非常に小さく、グリスの有無にかかわらず標準偏差(2σ)が低く、初速が安定している。またB,Cと比べ初速が最も高い。グリスがなくなるほど初速増=グリスが抵抗となっているといえる。
海外製ワイド8ホール&ダブルOリングは、401-500発での標準偏差(2σ)が計測中最高結果を記録し一見優秀に見えるが、グリス切れ状態では大きく初速と標準偏差(2σ)が悪化した。ダブルOリングとワイドホールによりOリングの抵抗値が非常に大きい事を示す結果と言える。
純正ピストンヘッドは番外として計測。ピストンを箱出しで組み込んだが初期添加されたグリス量が多すぎで標準偏差(2σ)がかなり悪い数字となった。しかし、拭き取り後は比較的安定した。
これらからピストンヘッド前面の8ホールが、Oリングを過度に膨張させていることを示す結果となった。Oリングの摩擦抵抗が低い個体はグリスがなくなるほど初速が上昇し、抵抗が高い個体はグリスがなければ摺動性が落ち初速が低下する。
Oリングの摩擦抵抗が低いDCIGUNSピストンヘッドは、グリスがシリンダー内に豊富に残っている状態のほうがグリスという変数の影響を受け初速に乱れが生じる。
グリスを最小限で運用するか、オイルという選択肢もある。(オイルを利用すると直後は初速が上昇するが、オイル切れにつれて初速が低下していく)
Oリングの摩擦抵抗が高い海外製2種については、グリスがベストな量になっているわずかな間は安定した初速を得ることができるが、大半の状態ではグリス過多か、過少により不安定となる。
【結論】
DCIGUNSピストンヘッドはOリングによる摩擦抵抗が小さく、グリス切れになっても安定した初速を実現できるといえる。「Oリングによる摩擦抵抗が小さい」ことは、ピストンを引く力=モーターに要求される電力が少なくて済む。そのためバッテリー消費量の節約、モーターブラシの消耗を低減といった効果も見込むことができる。これはUAB等のハードユーザーにとってランニングコストの改善にもつながり、初速の安定は、シューティング用途のユーザーにも大きなメリットがある。
今回検証対象としたピストンヘッド以外にも、国内、国外のあらゆるピストンヘッドを研究したところマルイ純正以外のカスタム品は全て、グリス切れで初速低下(Oリングの摩擦抵抗が大きい)という傾向が確認できた(ものによっては初速が20以上下がった)。これらのピストンヘッドは、初速低下を補うため強いバネを使用する等で調整することになりメカボックスの寿命にも大きな影響を与えかねない。このことからも、DCIGUNSピストンヘッドは現存するピストンヘッド全てを凌駕する「ピストンヘッドの決定版」と言える存在である。
【まとめ】
一口で言うと側面吸気ピストンヘッドは「摩擦抵抗が小さく初速の安定する」ピストンヘッドです。
これは側面吸気システムの採用による過度なOリングの膨張を抑えたこと、G.A.W.様製FRUS-Oリングの動摩擦係数の低さが起因します。
少し難しい話となりましたが、初速の安定は命中精度を向上させるための大きなファクターとなります。
側面吸気ピストンヘッドが電動ガンのスペックを向上させる可能性は十分にあると言えるでしょう。
近日発売予定です!
是非ご期待ください!
※検証データですので実際の使用において同一のデータ値を保証するものではありません。
予めご了承下さい。
★3/31
解説動画を公開しました。ぜひご覧下さい!